冬は星を見るのに最適な季節ですが、銀河を撮るには向いていない季節です。
日中と夜の気温差により気流が発生しシーイングが悪くなります。
ですがもう冬も後半で、夜明け前には春の星座がやってきているので銀河団を撮っていくとしましょう。
今日はうみへび座銀河団を口径51mmのRedcat51で撮ってみました。
ちなみに、撮影地は光害まみれの横浜市の自宅ベランダです。
結果
Location: @横浜市内の自宅ベランダ (SQM 18.60)
Date: Dec 29, 2024
Camera: ASI533MC Pro (Gain 100, -10℃)
Telescope: Redcat51 (FL 250mm, f4.9)
Mount: Kenko SEII-J
Guiding: SVBony SV165 (FL 120mm, f4), ASI120MM mini, ASIair Plus
Filter: Optolong L-Quad Enhance
Exposure: 2min x52 (104min)
Processing: PixInsight, drizzle 2x, BXT, NXT
FWHM: 2.5932
焦点距離の長いFC-76DCUで撮ったほうが迫力があったかもしれませんが、この前に星雲を撮っていて望遠鏡を替えるのがめんどくさいのでRedcat51で撮りました。
中心部に明るい銀河が集まってますね。
それだけでなく、写真全体に小さな系外銀河が散りばめられています。
アノテーションしてみましょう。
赤い文字がNGC/ICカタログで、青い文字がPGCカタログです。
中心の NGC3308, NGC3309, NGC3311, NGC3312 が特に目を引きますね。
NGC3308, NGC3309, NGC3311 はいずれも楕円銀河で見た目的につまらないですが、NGC3312は渦巻銀河です。
この写真ではわかりませんが、銀河団のメンバーと相互作用を起こしてガスが噴出している様子が観測されています。
うみへび座銀河団は地球から約1.9億光年離れていて(赤方偏移 z=0.0548) 157個の銀河を含んでいるとされています。
この写真の中にもNGC/IC天体とPGC天体だけで100個くらいは銀河がいると思うので、相当巨大な銀河団ですね。
Abellの Richness Scale (0から5の6段階で、6に近いほど密な銀河団) のうちクラス1に分類されているのでまあまあ密な銀河団です。
ちなみに、かみのけ座銀河団はクラス2です。
クラス6の銀河団はどんな見た目をしているのでしょうか…
うみへび座銀河団の直径はおよそ1000万光年です。
おとめ座銀河団の直径がおよそ1500万光年なのでまあまあな規模と言っていいでしょう。
撮って出し
2分露光の撮って出しです。
この時点で明るいNGC天体の核は確認できますね。
日本からだと南の空に低く上がるので撮影は厳しいですが、それでも特徴的な銀河団なので一度撮ってみてはいかがでしょうか。
次はかみのけ座銀河団を撮りたいです。
では。