ぼやけた画像を鮮明にするAIツール、BlurXTerminator (通称BXT) はすっかり有名になりましたね。
私もよく使っています。
BXTのいいところはただ星を小さくするのではなく、流れている星や収差までもを(ある程度までなら)直してしまえるところです。
あまりにも性能が良すぎてインチキなのではないかという声が上がっていますが、私は好きなので使ってます。
ですがNoiseXTerminator, 通称NXTはそこまで有名ではありません。
値段が微妙に高いのと、レビュー記事が少なくどんな性能なのかがわからないのが原因かもしれません。
そこで今回はNXTの性能を測るべく、実際の画像を使って比較してみました。
散開星団だとどうなる？
まずは散開星団を使って比較してみましょう。
散開星団は背景が暗く、ノイズの宝庫となりがちです。
ただの星の集まりだと思う人もいるかも知れませんが、意外と奥が深いです。
今回の画像はこちらです。
背景がノイズまみれのM48です。
ここにNXTをかけてみましょう。
Denoise 0.50, Detail 0.30
左がNoiseXTerminatorをかける前で、右がかけた後です。
背景のザラザラノイズが吹き飛びました。
しかし星の周りの色が破壊されることはなく、背景のノイズだけが見事に消えています。
これはすごすぎますね。
MultiscaleLinearTransformやTGVDenoiseも使っていたんですが、NXTの圧勝です。
ノイズ処理はNXTひとつでもよさそうなくらいです。
次は星雲で比較しましょう。
星雲だとどうなる？
星雲こそ天体写真の醍醐味ですね。
というわけで星雲でも比較してみましょう。
今回の画像はこちらです。
ノイズまみれのばら星雲です。
NXTをかけてみます。
Donoise 0.50, Detail 0.30
ザラザラノイズがどっか行きました。
拡大画像でも比較してみましょう。
これはすごいですね。
ただ今回はノイズを消しすぎた感があるので、Denoiseパラメーターを少し落としてみるのがいいかもしれません。
それでも星の色は綺麗なままです。
星雲の細部も壊さず、ノイズだけを消してくれています。
MultiscaleLinearTransformやTGVDenoiseではできなかったことです。
この時点でNXTを買ってよかったなと思います。
次に銀河で比較してみましょう。
銀河だとどうなる？
銀河も背景が暗く、ノイズの宝庫となりがちです。
今回はこの画像を使います。
ノイズまみれのNGC3521です。
さっそくNXTをかけてみます。
Denoise 0.50, Detail 0.30
見違えるほどよくなってますね。
中心の銀河はそのままに、背景のノイズがほとんど消えてなくなってます。
これはすごいです。
ノイズに埋もれていた暗い星までもが見えるようになっています。
これなら銀河にも安心して使えそうです。
最後に銀河団で試してみましょう。
銀河団だとどうなる？
天体の中では銀河団が一番厄介です。
背景の至る所に暗い銀河が転がっているので、暗い銀河がノイズと間違えて消されてしまいがちです。
単純に露光をかけないと銀河団は綺麗に写すことができません。
今回はこの画像を使います。
マルカリアンチェーンの中心部です。
光害地から撮ったのでノイズまみれですね。
さっそくNXTをかけてみましょう。
Denoise 0.50, Detail 0.30
予想以上の凄さです。
背景の暗い銀河が消し飛ぶかと思っていましたが、ちゃんと残ってくれたようです。
銀河のハロも浮かび上がってきてます。
これなら銀河団にも安心して使えます。
NoiseXTerminatorはどんな場面でも活躍するツールだと言えるでしょう。
それでも露光時間をちゃんとかけよう
ここまでNoiseXTerminatorの性能を見てきましたが、完全に買いですね。
ノイズ除去の革命です。
光害地だとどうしてもノイズの嵐に悩まされがちなので助かってます。
これからもNXTを使っていこうと思います。
ただ、今回の検証で露光時間の大切さもわかりました。
いくらNXTでも、擬似的にノイズを消しているに過ぎません。
露光時間を伸ばすことで天体からのシグナルをより多く集めることができます。
露光時間を伸ばしたうえで、消せないノイズをNXTで消していくといった使い方が一番よさそうです。
それでは。
